私達が設計する店舗は、開業するにあたって物件探しからご提案する場合があります。開業されるお客さまからご用意、ご提案いただく場合もありますが、近年は空き家や古い建物を改装・改築して店舗に利用したいとお考えの方も増えておられます。今回は、それらを利用した飲食店舗の開業ポイントについて解説いたします。
1. 空き家、古い建物の魅力
なんと言ってもその趣に魅了されたのではないでしょうか。いかにそれを残し、活かせるかがポイントです。町家などを企業がオフィスとして利用することも増え、社会的にも注目されているプロジェクトとなっています。プロジェクトが宣伝広告となり、経営にも良い影響をもたらしています。
2. 改装・改築のポイント
古い建物を改装・改築するにあたり、まず設備を整えることが最初の一歩です。新しいオフィスビルなどとは違って、インフラを整えたり、耐震、耐久性を備えることが必要です。他にも諸々の規定に則って建築基準をクリアしていきます。
法的な問題
古い建物にはいくつか法的な問題をクリアする必要があります。
いくら出店したいと言っても飲食店が出店可能なエリアでなければ出店できませんから、まずは用途地域を確認します。そのあと用途変更、構造、消防法などにとりかかります。建築物は用途(使い道)によって構造、設備に指定があり、建築当時からの用途に変更が生じれば、用途変更後も安全に利用できるか確認することになっています。物件の大きさによっては不要の場合もありますが、その届け出をせず、無許可で営業をして万が一、事故や火災、災害等に巻き込まれた場合、対応は困難を極めます。普段から責任ある行動を心がけましょう。
インフラ整備
電気、ガス、水道などの設備は必要不可欠です。古い建物の改装・改築の場合、整備するのになにかとコストがかかるかも知れませんが、それも計画のうちです。電気(動力・電灯)容量、ガス容量、排気容量、給水容量等のリストも事前に作っておくとスムーズに進められるでしょう。
安全性とデザイン性
古い建築物の良さを生かしつつ、内装はデザイン性のあるものに仕上げます。何もかも古いだけでは魅力は半減してしまいます。なにより建物として安全である必要があります。建物の竣工時期と現行の建築基準法や消防法が合致するか確認し、耐震補強等の災害防止対策を講じましょう。飲食店ですから、清潔感や衛生面にも配慮し、現代とマッチした改装・改築計画にすることが大切です。
3. まとめ
単なる物件の契約とは違って、古い建築物には建物自体にかかる法的な条件や手続き、設備面の整備、構造上の問題点等があります。コスト面も踏まえて、それらの問題をクリアに見透せてから契約し、改装・改築計画を実行されることをお勧めします。
近代的な街並みの中で、レトロでモダンな店舗はそれだけで人々の注目を集めます。いかにそれを残し、活かせるかがポイントです。