弊社が和泉市・和泉中央で、美容室・ネイルサロンの店舗デザイン・店舗設計・内装工事をした時の、まとめ記事になります。工事前の原子調査から、平面・プランニングや、内装デザインの考え方から、内装工事の様子まで、詳しくご紹介します。これから美容室・美容院・理容室や、ネイルサロンを開業・出店・改装・リニューアルをお考えの方は、是非参考しにして下さい。
1. 現地調査
テナントの立地
テナントは、泉北高速鉄道の和泉中央駅から歩いてすぐの場所にあります。泉北高速鉄道の和泉中央駅は、和泉市の中でも、利用者数が多く、駅前も大型ショッピングセンターがあり、比較的栄えている場所になります。テナントビルは、交差点の角地で信号待ちの車から、非常に目立つ場所にあります。テナントの前にも4台程の駐車スペースがあり、車での利用も便利です。
テナントのスペック
2階建てビルの1階と2階の一部が、今回の美容室のテナント部分になります。1階は121㎡・36.6坪で、2階は50㎡・15.1坪になります。ビルの構造は、鉄筋コンクリート造で、築年数は20年も経っていないかと思われます。以前はカメラスタジオが入っていたようで、家具等の残置物はありませんが、内装はそのままの状態です。
テナントのファサードは、既存で張られているグレーのタイル、はめ殺しの大きな窓、3箇所のシャッター部分で構成されています。大半がシャッターで、シャッターの内部は外壁が無い状態です。また、テナントへ入る出入口も無い状態なので、シャッター内部に新設する必要があります。
テナントの内部は、以前の店舗の状態のままで、所謂、事務所仕様といわれる状態です。天井はジプトーンで仕上げられており、逆富士型の蛍光灯が取り付けられております。壁は石膏ボードの上に、マンションや住宅等でもよく使用される、量産クロスが貼られております。床はタイルカーペットが貼られています。2階部分も同様で、事務所仕様となっております。1階と2階は、螺旋階段で繋がっており、一部が吹き抜けになっております。
次はテナントの設備面です。既存で残されている設備は天井のエアコンのみになります。ただ、既存のエアコンが設置されてから随分経過するので、取り替える必要がありそうです。新設するエアコンタイプも、既存同様で天井カセットタイプを導入予定です。
そして美容室で非常に重要になるのは、水廻り設備です。まず、排水設備は、テナントの出入口から遠い奥の部分に2箇所ありました。1箇所はシャンプー台などの雑排水として、もう1箇所はトイレ用の汚水として使用します。1階にはビルの排水設備はありましたが、2階部分にはありませんでした。そのため、2階部分にシャンプー台を設置予定なので、2階から1階へ排水管の引き込みが必要になります。
次は給湯のシステムです。ガス給湯器でも電気温水器でも、どちらも設置できるだけの設備容量は満たしております。後は、各給湯システムのメリット・デメリットを比較し、お施主様と相談して決めたいと思います。外部にガス給湯器が設置できるスペースがあるので、店内のスペースを優先するのであれば、ガスの方がいいと思います。
テナントの状態や設備面を含め、十分な現地調査を行った結果、ここで美容室を開業しても問題ないと判断できました。勿論、テナントによってメリット・デメリットありますが、如何にメリット部分を有効に活用し、デメリット部分を解消するかが、重要になってきます。特に今回は、2フロアでの開業になりますので、様々な活用方法を模索し、お施主様の理想以上の美容室・理容室が提案できるよう、店舗デザイン・店舗設計・内装工事を行っていきたいと考えております。
2. プランニング
ゾーニング
こちらが現地調査の内容を基に考えたゾーニングです。
入口付近に受付と待合を設置し、ここで美容室を利用するお客様と、ネイルを利用するお客様を、分けたいと考えております。入口から左手を美容室のエリアとし、2階へと続く右手を、ネイルエリアとしました。また、2部分は小さいお子様がおられる方専用の、キッズルームを完備した美容エリアと考えております。
シャンプー台やトイレやスタッフルームの水廻り設備は、テナント奥にある、ビルの排水設備付近に集約することにします。このエリアに集約することで、床上げ部分も最小限になり、コストを減に繋がると考えております。2階の排水も、一部の吹き抜けを利用し、縦管でこのエリアまで引き込もうと考えております。
平面図
こちらが何度か修正を重ね、最終的に決定した平面図になります。
ゾーニングに忠実に、入口正面に受付カウンターを設置し、そこでネイルを利用するお客様と、美容室を利用するお客様を分けることにしました。受付エリアの窓面には、待合カウンターと店販の商品棚を設置しました。
ネイルは、ハンドもフットも可能な席を2席設け、美容室とは一線を引いた、独立店舗のような内装デザインを考えております。壁面には、ネイルの商材やサンプルを展示てきるスペースの他、十分な収納も確保できるよう考えております。
1階の美容室エリアは、カット面は8席設け、シャンプー台は3台設置しました。カット面は、中央に対面で島状に配置することで廻りを通路とし、スッタッフもお客様も利用しやすい動線としました。
2階部分は、カットが可能な個室を2部屋、キッズルームを1部屋、シャンプー台は1台設置しました。キッズルームの両サイドに、カットの個室を設け、視覚的にも聴覚的にも、子供の気配を感じられる作りにしようと考えております。
お施主様の要望通りの席数や部屋数も確保でき、これからは高さ関係の落とし込みと、デザインの落とし込みの作業に入ります。
3. 内装工事
墨出し
作成した平面図を基に、現場で墨を出していきます。墨出しとは、簡単に言えば、図面上の基準となる壁等の重要な線を、現場に引いていく作業のことです。この墨を基に、設備の位置を決めたり、配管のルートを決めたりします。また、図面上と現場では、寸法に多少の誤差があるため、その調節も行います。
空調設備工事
天井の軽鉄工事が入る前に、空調や換気の仕込み作業にはいります。今回は、1階も2階も全て天カセ(天井カセット型エアコン)を導入します。カットスペースは天井がなく、表しにするため、エアコンや換気の配管が露出の状態になります。その他のエリアは、天井を造作するため、エアコンも隠蔽します。
店舗のエアコンは、種類が多く容量も様々あります。勿論、種類によってメリット・デメリットがあり、適切な種類を選定しなければ、過度に使用する夏や冬にトラブルになることも珍しくありません。また、エアコンの容量や台数や設置する位置も非常に重要になります。エアコンは、後から安易に増設できる設備ではありませんので、最初の段階でしっかりとしたプランニングが必要です。
電気設備工事
軽鉄工事の前、若しくは軽鉄工事と並行して電気工事も入ります。まずは、天井がまだ塞がれていない状態で、照明やエアコンなどの配線を仕込みます。それと同時に、壁に設置するコンセントや設備機器の配線も仕込んでいきます。
電気の配線はコンセントや照明以外にも、シャンプー台やトイレの便器等、多くの設備機器で必要になります。壁の中や、天井の中も、後から配線を仕込むのが困難な場所が多く、当たり前ですが、事前の計画性がスムーズに工事を行う上で重要になります。
給排水設備工事
給水と排水の設備の配管工事も、壁や床の工事の前に仕込みます。1階の水廻り部分は、配管を引き込むので床上げが必要になります。床上げする部分は、シャンプースペース、トイレ、スタッフルームになります。このエリア内に水廻りを集約し、床上げの高さも最小限に抑えます。また、2階部分には排水がないため、2階から1階へと排水の引き込みが必要になります。
次は給湯に関してです。今回の給湯システムは、ガス給湯器になります。ガス給湯器を選んだ理由は、店内のスペースを少しでも広く使いたいことと、電気容量が限られているので、少しでも電気容量を圧迫するような機器を設置したくなかったためです。また、テナントの裏に、ガス給湯器を設置する専用のスペースがあったのも、理由の1つになります。ガス給湯器は、冬場はお湯が出るまでにタイムラグがあるなど、デメリットな部分もありますが、電気温水器に比べ、お湯の使用量に限度がない等、メリットな部分も多いです。今回がお施主様と相談し、ガスに決定しました。
天井・間仕切工事
設備工事と並行して天井と間仕切工事も行います。今回は軽量鉄骨(LGS)と石膏ボードで天井と間仕切を作成していきます。エステサロンに比べ、美容室は間仕切りが少ないので、比較的短期間の工事になります。
解体した時に比較的天井が綺麗だったこともあり、カットスペースの部分は天井を作成せず、表しとすることにしました。それ以外のシャンプースペースや受付は天井を作成します。店内が全てフラットの天井ではなく、場所によって天井の高さが変わっていると、空間に変化も生まれ広く感じ取ることができます。
建具工事
今回は建具は既成品ではなく、店内のイメージに合ったオリジナルの建具を作成することにしました。既成品に比べ価格は高くなりますが、色や形や大きさ等、お客様が思い描いてる、お気に入りのドアを作成することが可能です。特にエントランスのドアはお客様が来店される時や、帰る時に手に触れるので、お店の印象として記憶に残りやすいです。予算に余裕があれば、エントランスドアだけでもオリジナル建具として作成することをお勧めします。
造作家具工事
今回造作家具のボリュームが多く、カット面のミラー、シャンプーの収納棚、受付カウンター、トイレ洗面カウンター、店販飾棚になります。シャンプーの収納棚以外は、特にお客様に直接目に触れる機会が多い什器なので、店内のイメージに合わせたオリジナル家具として制作することにしました。
シャンプーの収納棚は既成品もありますが、サイズが限られるのと、使い勝手が悪いこともあり、特注の家具として作成することにしました。造作家具は高価な材質を使用しな限り、大きさに比例して金額が決まります。今回作成して中では、シャンプーの収納棚が一番大きいこともあり、価格も一番高くなりました。価格が高い分、高さや幅や扉割など、使い勝手がいいように制作することができるのが最大の魅力で、その結果、作業ロスが減ります。
仕上工事
壁面の仕上はタイルとクロスと塗装、天井はクロスと塗装になります。まずは天井と壁面にEP塗装を施します。EP塗装とはエマルションペイントの略で、水性の塗料になります。今回は普通のEP塗装で終わるのではなく、少し使い込んだ風合いを出すためEP塗装の上にエイジング塗装を施します。このエイジング塗装が今回の内装のポイントとなります。そのため、普通の塗装屋さんではなく、USJ等にもペイントしている専門業者にお願いしました。エイジング塗装は、壁面だけでなく、特注した造作家具やエントランスのドアなどにも施します。
塗装が終わるとタイルを張ります。今回のタイル張りの箇所は、ファサードの一部とカットスペースの一部になります。タイルの種類は共にブリックタイルで、比較的扱いやすいタイルになります。塗装やクロスに比べ、タイルは物自体の価格も、張り手間も高いので、アイポイントとなるような場所に、ポイントで張るのがお勧めです。
最後はクロス工事になります。今回は1000番のクロスを使用します。1000番クロスとは、店舗などで一般的に使用するクロスで、国内のメーカーから、様々な色や柄が販売されています。今回は柄など、主張が強いクロスではなく、タイルを引き立てるようなシンプルなクロスを選びました。
ちなみに詳しく説明しませんでしたが、今回の床の仕上げは全面フロアタイル(塩ビタイル)です。耐久性にも傷にも強く、美容室に適している床材です。エリアによってフロアタイルの種類は使い分けております。
4. 竣工・引き渡し
仕上工事後の美装工事も終わり、竣工・引き渡しとなります。今回はご依頼から竣工まで6ヶ月と非常にタイトなスケジュールでしたが、大きな問題もなく無事に工事を終えることができました。
お施主様のご希望通りのスペックも確保でき、練に練った店内のデザインも、大変喜んでいただきました。2フロアあるメゾネットタイプの美容室で、ネイルサロンも併設しているということで、非常に難しいプランニングでしたが、お客様やスタッフ動線と、それぞれのスペースを上手く使い分けることができました。
今後美容室は、ネイルサロンに限らず、様々な業態と併設するスタイルが増えると思いますので、是非参考にして下さい。勿論、美容室を新規に出店されるオーナー様や、2店舗目、3店舗目を目指すオーナー様も、今後の店舗作りにお役立で下さい。
tricoでは、美容室た理容室の店舗設計・店舗デザインから、内装工事まで一貫してお受け致します。ネイルサロンやアイラッシュなど、美容に関わる様々な工事もお任せ下さい。