店舗の内装で鉄筋コンクリートを打ちっ放しにするデザインがあります。化粧材と呼ばれる内装用の仕上げ材も使わず、躯体をそのまま見せるデザインです。シンプルであらゆる形態の店舗に多く取り入れられています。ここでは鉄筋コンクリートの内装デザインのメリット、デメリットを解説します。
1.コンクリート内装のメリット・デメリット
メリット
性能・コスト面
鉄筋コンクリート造はさまざまな建築構造の中で、最もコストパフォーマンスの良い構造と言えるでしょう。他と比べると火災や地震にも強く、耐火性や耐震性があります。遮音性にも優れています。線路沿いや交通量の多い騒音が気になるような路面店でも、店内ではそれらを気にすることなく営業が可能です。お客さまの滞留時間が長く、落ち着いた雰囲気が求められる美容系サロンなどでは、大きなメリットとなります。また、鉄筋コンクリートを打ちっ放しにすることで、表面の仕上げに使う化粧材などが不要になります。通常使用する仕上げ材の厚さ分、スペースが生まれます。店舗が広ければ広いほどその面積も増えます。
デザイン面
コンクリートの打ちっ放しなので、ひとめ見ただけでは完成形なのかどうかわからない場合もあります。それだけシンプルに仕上がっていますので、他の要素に目が行きます。アパレル系やインテリアショップなど、商品を引き立てるのにもその内装デザインは大きな役割を果たしています。個性的な商品を扱う場合も背景がシンプルになる分、とてもマッチします。アーティスティックな雰囲気を演出したい場合にもいいでしょう。
デメリット
性能・コスト面
躯体の内外を打ちっ放し仕上げにしてしまうと、壁面に断熱材を入れることが基本的にできません。快適な生活空間を追求するためには断熱は欠かせません。断熱とは熱が伝導や対流、放射によって伝わるのを防ぐことをいい、断熱材とは熱を伝えないように作られた材料のことをいいます。外からの暑さ・寒さを遮ったり、室内を一定温度に保ちます。つまり、断熱材は夏は涼しく、冬は暖かい空間を作り出すアイテムなのです。一般的に断熱材は壁の外側か内側に配置することで、室内の断熱性能を高めることができます。室内の気温は空調で管理することも可能ですが、それだけでまかなおうとするのは限度がありますし、光熱費もかさみます。結露対策にペアガラスや二重サッシで窓の断熱性能を高めたり、カビ対策には専用の塗料をぬったりするなどの対策も必要になってくるでしょう。デザイン性も重視するなら外断熱を検討しましょう。外断熱は、建物を外側からぐるっと包み込む非常に気密性が高い工法です。そのため、屋内の温度を外へ逃がさないので冷暖房の使用を抑えることを目的に採用されることも少なくありません。躯体の劣化を予防する効果もあり、建物の長寿命を期待できます。ただし、一般的な内断熱工法より割高になります。
デザイン面
シンプルであらゆる形態の店舗に多く取り入れられているとご紹介しましたが、無機質で人によっては冷たい印象を持つ人も少なくありません。まずはコンセントに合っているかどうか考えてみましょう。店舗内の装飾、インテリアによってうまく調和する場合もありますので、全体像をしっかりと把握してから取り入れましょう。
2.メンテナンス方法
まず、塗装によってコンクリート表面を保護します。クリア系の塗料には耐久性や防カビ性を高めるものもあります。コンクリートは水和反応で固化する材料なので、水分を含んでいます。カビ防止にも注意して、可能であれば24時間換気を行いましょう。梅雨時期は高温多湿になりますので、除湿機を用いて万全の対策をとりましょう。
3.打ちっ放しデザインの取り入れ方
シンプルであらゆる形態の店舗に多く取り入れられている打ちっ放しデザインですが、インテリアや家具、什器の組み合わせで様々なタイプの演出が可能であるのも魅力の一つです。いくつかのタイプをご紹介します。
物品販売の店舗
商品のテイストに、陳列棚となるを什器のテイストを合わせます。ナチュラル系の商品を扱うのであれば、木製や木のぬくもりの感じられる家具や什器を配置します。一見、コンクリートの打ちっ放しとは真逆のイメージで不釣り合いに思いますが、コントラストがつき商品も引き立ちます。シンプルなスタイルがマッチします。
高級路線の店舗
大人っぽい空間を演出するなら、インテリアや家具、什器なども落ち着いたデザインのものにするといいでしょう。全体的に見て一体感があるような雰囲気にします。商品を販売する場合は、商品をオブジェのように見せたり、スペシャルな演出を施すなどするとさらに高級感が増します。コンクリートの色と質感はしっかりと背景に溶け込むので照明などを効果的に使うといいでしょう。
カフェなどの飲食店舗
無機質でクールな雰囲気が似合うカフェやバーには打ちっ放しスタイルはよくマッチするでしょう。照明が暗いことが予想されるので、少し質感が出るようなインテリアや家具、什器選びをするといいでしょう。空間の広がりを意識して、必要最低限のもので十分です。過度な装飾は落ち着きのない空間となってしまいます。
4.まとめ
おしゃれな内装デザインの一つとして多方面から人気のあるコンクリートの打ちっ放しデザインですが、他の内装デザインと比べて、断熱の問題であったり、機能面で少し先のことを考えて工事に取りかかる必要があります。メンテナンスなど、しっかりとアフターフォローをしてくれる業者を選びましょう。お客様に快適に過ごしていただけるようにあらゆるケースを考えて準備しておきましょう。