以前の記事でA・B・C工事の内容についてご説明しました。
- A工事 : 工事(ビルオナー側) 費用(ビルオーナー側)
- B工事 : 工事(ビルオナー側) 費用(お施主様側)
- C工事 : 工事(お施主様側) 費用(お施主様側)
ABCと3つに分類されている工事の中でも、B工事はビル側とお施主側でトラブルが生じやすい工事でもあります。今回は契約後に実際あった、B工事のトラブルを詳しくご説明いたします。
都心部に建つ商業ビルで、契約内容は防災設備工事がB工事(お施主様負担)となっていました。
ちなみに、防災設備工事とは火災があった場合に感知してくれる、煙感知器や熱感知器や、火災が発生した時に天井から水を噴出し、鎮火をはかるスプリンクラーの工事などのことを指します。特に、都心部の高層階などのテナントでは頻繁に発生する工事になります。
お施主様はオープンの日程が迫っていたのと、他の同業者からもこの物件に申し込みが入りそうだったので、B工事の見積もりを待たずに、物件を契約してしまいました。これが後の大きなトラブルに繋がります。
契約後、ビルオーナー側の業者から上がってきたB工事の見積もりを確認すると、想定していた金額から200万円もオーバーしていました。今回の物件の規模で、通常の防災工事の相場は150万円と内装業者に聞かされており、実際B工事の業者から提示された金額は350万円と、倍以上の価格差がありました。
もしこれが、契約前であれば、物件を借りるのを見送ることができますが、もう契約してしまった後では解約できません。そして内装工事も進行している状況では後戻りもできません。残された道は、B工事業者との金額交渉のみということになります。
ただ、金額交渉といっても、契約後なのでB工事の業者は強気な交渉をしてきます。実際350万円提示された見積もり金額が150万円まで下がるかといえば、そんなことはありません。大きく下がったとしても20%の減額程度でしょう。最終的に多少の減額はしてくれたものの、お施主様が想定していた工事金額より、150万円も多く支払うことになりました。
これがもし、開業して1店舗目で資金力もなく、初期費用として借り入れしている場合であれば、かなりの痛手になります。もしくは開業すらできない自体になったかもしれません。ここで重要なのは、契約後にB工事の見積もりをしてしまったことです。もしこれが契約前であれば、もう少し強気な金額交渉も可能ですし、物件を見送ることも可能でした。
このようなトラブルに見舞われないためにも、必ず事前にB工事の見積もりを取り、細かな個所までチェックしておきましょう。
弊社では、B工事の見積もりの内容が適正かお施主様目線でチェックし、ビル側との価格交渉もいたします。