建築は日々の生活と切っては切れないものですので、建築用語を語源とするワードやフレーズがたくさんあります。実用的なものやそうでないものまで、少しずつご紹介します。豆知識として知っておくと面白い発見があるかも知れません。
1. 建築由来のワード・フレーズ
たたき上げ
たたくと聞けば、金槌や大工さんのトントンと何かを叩く音を連想しますが、このたたきの語源は「三和土(たたき)」と書きます。
セメントがなかった時代から土を固める素材として使われてきたもので、3種類の材料を混ぜ合わせた敲(たた)き土の略です。赤土や砂利に消石灰とニガリを合わせて練り、何度も叩き固めた土間仕上げのことを指しています。
その叩き方が生半可だと、良い土間に仕上がらないことから、下積み時代から苦労して、一人前になることをたたき上げと言います。
束(つか)の間
束とは、梁の上や床下などに立てる柱のことです。束柱とも言われます。一束は指4本分の幅、にぎりこぶしほどの長さで、時間をその幅に置き換えて、ごくごく短い期間に例えられるようになりました。
大黒柱
言わずと知れた家の中心にある太い柱、もしくは建物の最初に立てる柱のこと。地震の多い日本では、最も太い柱に全部の梁をかけ、上の部分の重みを支える役割も持っています。家計を稼ぐ男性や家庭を支える女性など、一家の中心となる人物のことを連想させます。
また、昔はその柱が台所のある土間に立っていることが多く、台所に祀られる七福神「大黒天」にちなんだ説などもあります。
羽目(はめ)を外す
建築では、羽目板(はめいた)と呼ばれる建物の天井や壁に使う板があります。きちんとつなぎ目で固定できるように加工されており、せっかくきれいに張った羽目を外すと意匠が台無しになってしまうことから、そう言われるようになりました。
また、馬に興奮しないようにくわえさせた「馬銜(はみ)」が外れ、馬が暴れ出したことから転じたとも言われています。
2. まとめ
普段使っているワードやフレーズの語源を知ると、より深い興味が湧いてきます。建築では職人さんの働きぶりがみえるものがたくさんありますから、業者の方との打合せの際など、なるほど!と思うことがあるかも知れません。是非じっくり耳を傾けてみて下さい。