近年、世界のトイレ事情は大きな変化を遂げました。空港やホテル、商業施設などでは、リラックススペースの一つとしてお客様をもてなす重要な役割を担うようになりました。清潔な日本では、百貨店のパウダールームなどがいい例でしょう。個人のお店づくりにおいても同様に、お客様が使いやすく、居心地の良い空間となるよう心がけましょう。表からは見えない部分ですが、お店の隠れた顔となる場所です。設備面、機能面からポイントを整理してみましょう。
少しの心掛けでも大きく変わる設備面
男女別の個室
当たり前のことのようですが、統計でも95%の人が店舗のトイレは男女別であることが望ましいという結果が出ているようです。不特定多数の人が利用することになります。物件の構造上止むを得ない場合を除き、男女別々の個室として設置しましょう。
配色
大きく2パターンに分かれます。一つは優しい温かみのある暖色系を使い、ナチュラル系にまとめます。もう一つは、グレーなどの落ち着いた色合いで、シンプルにまとめます。いずれも遊び心を入れるのは構いませんが、奇抜になりすぎないようインテリアは最小限にしておきましょう。
照明
身だしなみのチェックやお化粧直しにも利用するため、自然な光の白熱灯をオススメします。鏡を覗き込んだ時に、お客様の顔に影ができないように設置しましょう。間接照明にすると、直接照明が見えないので鏡周りもスッキリできます。調光機能付きの場合は、営業時間内・外で使い分けることができて便利です。
衛生機器
洗面台周りに必要な機器として、ペーパータオル、回転式のロールタオル、ジェットタオル(乾燥機)などがあります。初期費用はかかりますが、月々のランニングコストで比較すると、一般的に普及しているのはジェットタオルです。月々のコストはペーパータオルの約1/10の計算になります。使用頻度を考えて導入を検討しましょう。
アメニティ
紙コップ、つまようじ、コットン、綿棒など、お客様の行動を考えて必要最低限なものを準備しましょう。あまりコストをかけずに揃えられ、補充も容易にできるものにしましょう。過度にとり揃える必要はありませんが『お客様のあったらいいな』に応えてみるのもサービスの一つとして効果的です。
お店の計画段階から取り入れるべき機能面
場所
入口にはなるべく段差がないようにし、幅は65cm以上あるのが理想的です。またはじめて来店したお客さんでもトイレに行くまでの動線がすぐに分かるようにしましょう。
初めてのお客様にもわかりやすい場所にします。トイレに行くまでの動線はわかりやすく、お客様が落ち着ける空間にしましょう。入り口付近の段差はなるべく避け、できれば幅にも65cm以上のゆとりをもたせるのが好ましいとされています。
バリアフリー対策
お客様の層が高齢の方や小さなお子様に及ぶ場合など、できる限り段差をなくしたフラットな設計にしたり、手すりなどを取り付けたりと細かな配慮が必要になります。便座の使い勝手や高さ、仕様なども検討して設置しましょう。
仕様
センサーで便座のフタの開閉・洗浄を自動的に行うものから、オーソドックスな和式タイプなど様々です。最新の機器にこだわる必要はありませんが、使い勝手の良いものを選びましょう。ボタンやレバーの位置がわかりづらい場合などは、お客様が利用しやすいよう簡単な注意書きを掲示するのもいいでしょう。
お手入れ
常にどこよりも清潔にしておきたい場所です。こまめに掃除する努力も大切ですが、設計段階からお手入れのしやすい空間づくりをしておきましょう。汚れを処理しやすい水洗いできる床や、水の飛び散りを抑える構造の洗面ボウルなどがあります。専門家に相談し、手間をかけずに清潔な空間を維持できる方法を採用しましょう。
まとめ
お客様がリラックスできる空間として、過度な装飾は避けたり、使い勝手や清潔を第一に心がけることをご紹介してきました。そうすることで自然とお客様の目が、仕様やデザインに向くことになり、こだわった分だけお店のイメージアップが期待できるからです。わずかな時間ではありますが、お客様が唯一独りになれる場所でもあります。さりげなくお店からのお知らせやメッセージを掲示して、お客様とのコミュニケーションスペースに利用するのもいいでしょう。是非チャレンジしてみてください。