階段といえば、駅やビルの中、もしくは家の2階、3階へと続く階段を想像しますよね。商業施設ではエレベーターやエスカレーターもありますが、それ以外に商売をしているような空間では見かけることは少ないと思います。そんな商用物件でもなかなか稀な、階段のある空間について解説いたします。
1. 階段とは
階段とは、建物の上限階を上り下りするための段状の通路や構造物とあります。法律によって、最低限の寸法が決められています。法律では階段、踊り場の幅、蹴上がり、踏み面、踊り場の位置に基準が設けられています。そうして使う人に応じた細かな計算がなされ造られます。建物の用途や面積によっても変わりますが、上り下りのし易さや安全性なども考えてしっかりと基準を満たしていないと、危険で違法な建築物となります。
2. 階段のある空間
商用物件で階段のあるものはあまり多くは見かけませんが、あるととても特徴的で印象的な店舗となるでしょう。内装デザインの一部と考えることができれば、他にはない空間づくりが楽しめそうです。
お客さまに階段を利用してもらうとなると、注意が必要な点も増えますが、そこをクリアにできれば商売上階段があることがネックになるようなことも少ないでしょう。
クリアにしたい点
- 上り下りしやすい形状(ステップ)であるか
- 勾配に無理はないか
- 滑りやすい材質でないか
- 下から見える(スケルトン)構造になっていないか
- 手すりはあるか
- るさは確保できているか 等
3. 4つの階段の特徴
階段には代表的な4つのタイプがあります。メリット、デメリットを踏まえてご紹介します。
直階段
真っ直ぐで折り返しのない一番オーソドックスなタイプです。シンプルな形で省スペースに使用され、コストも抑えられます。階段下のスペースを収納に利用したり、少しデザイン的要素を取り入れたり、オープンに空間を活用できます。無駄のないスッキリとしたデザインが人気です。
ただし、限られたスペースを利用するため、階段自体が急勾配になっているパターンも多く見られます。デザイン性を重視して手すりのない場合もありますが、危険ですので避けた方がいいでしょう。
かねおれ階段
踊り場のある、L字型に折れるタイプです。折れている分、面積を広く取る必要があります。踊り場があることで、万が一落下してしまっても下まで落ちることがないのは安心です。このタイプも階段下を収納として利用できますが、直階段よりは実用的な使い方をするタイプとなるでしょう。
折り返し階段
踊り場のある、U字型に折れるタイプです。かねおれ階段との違いは、かねおれ階段よりもさらに広い面積が必要な点です。そのため他のタイプと同じ高さで比べた場合、なだらかでステップの幅も広く、安定感のある仕様となります。お客さまが利用する場合なども安心です。
螺旋(らせん)階段
中心に柱を置き、その周りをステップ部分が螺旋状に回転しているタイプです。洋風のイメージが強いですが、和風のテイストにもよく合います。デザイン性も高く、スペースも取らないので魅力的ですが、複雑な形状のためコストは高めです。ステップが三角形であることで踏み外しの危険性や、回転しながらの上り下りが苦痛と感じる場合もありますので注意が必要です。
4. まとめ
シンボリックな要素を持っていたり、色の組み合わせだけでも色々な見え方ができたり、階段には視覚的に面白いところがたくさんあります。
ただし、建物の中でも落下など大きな事故につながる場所でもありますから、実用的な機能を果たした上でデザイン性を求めることをお勧めします。
階段の先には何があるのか、とても気になります。そんな魅力的な空間造りができると良いですね。