お店や店舗のレイアウトやプランの考え方は、業種ごとに細かな違いはありますが、大きなポイントでは共通しています。まずはお客様にお店に入ってもらえるよなお店づくりにすることです。次に、お店に入って下さったお客様に良い印象を与えるお店づくりです。そして最後は、お客様の記憶に残し思い出してもらえるお店づくりです。この3つのポイントがお店のレイアウトやプランニングする上で非常に重要になります。今回はこの3つのポイントを詳しくご紹介します。
1. 入店しやすいファサードデザイン
飲食店にしても、物販にしても、どの業種でも言えることですが、まずは、お客様にお店に入ってもらえなければ、どんなに良い商品を提供できたとしても意味がありません。そのため、お店の第一印象の顔である、外観・ファサードのデザインは非常に重要になります。
まず物販や飲食店であれば、そのような商品を提供しているのかを、外を歩いている人に理解してもらわなければなりません。そのためには、アパレルや雑貨店であれば、商品を展示できるVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)のスペースを設け、飲食店であれば、提供しているメニューが視覚的に理解できる、食品サンプルやメニューの写真を展示することが重要です。
また、物販や飲食店であれば、外から店内がある程度見えるような外観でなければ、初めて入店するお客様の心理としては入りづらく感じてしまいます。店内が外部から見渡せない、会員制のお店のようなファサードデザインでは、気軽にランチやお買い物といった心理にはならないでしょう。
一方、エステサロンやクリニックなど、プライバシーの確保が必要な施設は、どのような人が利用しているのか、外から丸見えでは、安心してお客様が利用できません。しかし、外から内部を完全にシャットアウトしてしまえば、逆に不安を煽ってしまいます。初めて利用する人のためにも、受付や待合の雰囲気がある程度感じ取れるような、ファサードデザインが一番好ましいといえるでしょう。
2. お客様に良い印象を与える店づくり
一度入店いただいたお客様には、お店に良い印象を思ってもらい、リピーターになってもらうことが非常に重要になります。では良い印象を持ってもらうには、どうしたらいいのでしょうか。ファサードデザイン同様、各業種によって、考え方が変わりますので、それぞれみていきましょう。
まず物販では、お客様に目当ての商品を見てもらわなければなりません。そのためには、見やすい商品陳列は勿論ですが、より多くの商品を見てもらうためにも、店内を回遊するようなレイアウトを心がけることです。お客様が目当ての商品が、入口近くにあるとは限りません。いかにお客様を飽きさせずに、店内奥へと誘導し多くの商品を見てもらうかが重要になります。
次に、美容室やエステサロンでは、椅子や施術部屋など、限られたスペースで多くの時間を過ごします。そのため、狭くごちゃごちゃとした空間では、お客様がゆっくりリラックスすることができません。どんなに良い施術でも、狭いスペースで、慌ただしくされてしまうと、お客様にとっては良い印象は残りません。また、他のお客様と目が指すようなレイアウトでは、心理的にゆとりを感じていただけるとは限りません。ある程度のプライバシーが確保されたゆったりとした空間で、サービスを受けていただくのが重要です。
飲食店は、客単価によって考え方が異なります。ファストフードのように回転率を上げたいお店では、最低限の客席スペースにとどめ、より多くの客席を確保しなければなりません。また、高級フレンチや割烹料理屋など、客単価が高い店では、ゆったりと大きめのテーブルや椅子を配置し、ある程度のプライバシーが確保できる個室や、目線を遮るような衝立がある半個室の客席が好ましいでしょう。
3. お客様の記憶に残す店づくり
お店のレイアウトやプランニングをする上で、スタッフや従業員の導線を最優先に考える事は非常に重要です。しかし、そればかりを重要視していると、お店自体に遊び心がなく、特徴もないお客様の記憶に残らないお店となってしまいます。
物販でいうと、ドンキホーテやヴィレッジヴァンガードのように、ごちゃごちゃと積み上げられた、商品と迷路のような通路は、お客様にとっては宝探しをしているようで、楽しくまた行きたいと記憶に残るお店となります。飲食店であれば、びっくりドンキーのように、アミューズメント施設のような店内も、他の店に比べ記憶に残るお店となります。
このように、一見非効率のように思われる、店内の陳列やデザインもにも、お客様の記憶に残すという役割があり、大きな意味があります。効率的な部分を追求するのも大切ですが、時には非効率で無駄と思われる”遊び”を取り入れることで、お客様の記憶に残るお店を目指しましょう。