心斎橋でエステサロンの店舗設計・店舗デザイン・内装工事した時のまとめ記事です。
今後エステサロンや美容室を開業される方や工事される方は参考にして下さい。
今回は、スケルトンの状態から新しく新装するのではなく、今あるお店を一度スケルトンの状態に解体してから、リニューアルする改装工事になります。そのため通常の工事よりも解体費用が発生するのと、工事中も基本的には賃料が発生するので、その分金額は高くなります。あと、今使用している美容器具をリニューアル後も再利用する場合は、工事期間中どこかに一時保管しないといけません。レンタル倉庫を利用するなど、様々な方法はありますが、量が多いほど保管費用も高くなります。
同じ場所でリニューアルする方の多くは、オープン当初から長く賃料を払い続けていると思いますので、リニューアルを機会に一度賃料の見直しとして、ビルのオーナー様に価格交渉してもいいかもしれません。再交渉する際は、他に良い物件が見つかり移転を考えている等、多少の駆け引きをすることも重要です。
改装前
これが改装前のお店の様子です。オープンから7,8年経ちます。オープン当時からは、使用する機器や各部屋の使い方も変わり、今回のリニューアルに至りました。お店によってリニューアル時期の考え方は様々ですが、リニューアルといっても部分改装やクロス等の表装変え等、様々です。その中でも、今回のような一度スケルトンにするリニューアルは、比較的少ないように思われます。逆にいえば、今の場所で利益が上がり成功しているからこそ、大金をかけてのリニューアルが可能であるといえます。どのようなリニューアルをするにしても、工期、金額、デザイン等、弊社では様々なアドバイスが可能ですので、お気軽にご相談下さい。
解体後・スケルトン
こちらが解体後スケルトンにした状態です。築年数が古いこともあり、鉄筋コンクリート造ですが、あまり良い状態とはいえません。ただ、思ってた以上に天井高さが確保できそうなのと、床の不陸も酷くなかったのが幸いです。ここから本格的なプランニング作業にはいります。
ゾーニング
解体後、現状を把握し、まずはゾーニングをします。ゾーニングとは聞き慣れないかもしれませんが、物件の様々な情報(広さ・形・設備面)を基に空間の位置構成を決める作業です。この作業は店舗を設計・デザインする上でのベースとなり、平面図を作成する上でも、ともで重要な役割を果たします。
まずプランニングする上で、最初に確認するのが排水の位置です。エステサロンでは水廻り設備の利用が多く、尚且、分散されています。トイレやシャワーユニットは勿論、施術部屋の手洗い、メイクルームの手洗い、スタッフルームのミニキッチン等、1箇所に集約することはできません。床上げを高くすれば、排水ポイントから離れた場所に個々を設置する事も可能ですが、使い勝手やコスト面を考慮すると、あまり現実的なプランとはいえません。コスト、使い勝手、工期を考えると、如何にに排水ポイントの近くに水廻り設備を配置できるかが、プランニングする上で重要になります。
基本的なゾーニングの考え方としては、エレベーターの周辺に受付と待合、そしてスタッフルームから各部屋へのアクセスと考え、スタッフルームを囲うように接客スペースを配置したいと考えております。そして水廻り設備ですが、今回は既存のトイレ(図面右側)の排水を利用します。そのため、シャワーユニットや手洗い等は、可能な限りその周辺に設置したいと考えております。この大まかな配置構成(ゾーニング)を基にプランニングを進めたいと思います。
平面図・プランニング
こちらが先程説明したゾーニングを基に、作成した平面図になります。オーナー様の要望通りのスペック(部屋数・設備)が確保でき、この内容で内装工事を進めることになりました。ほぼゾーニングの考え方に近い配置になっており、使い勝手の面やコストの面も考慮したプランになっております。スタッフルームから各部屋へのアクセスを考えた動線が、働かれる方の作業効率を上げ、利用されるお客様にとっても、快適な空間になります。また、水廻り設備を排水ポイントへ近いエリアに設置することで、最低限の床上げの高さにし、コスト面も配慮しております。通路や各部屋のデットスペースには収納庫を設け、無駄のないプランになっております。あとはこの平面図を基に、お店の内装のデザインの落とし込み作業に入ります。
コンセプト・スケッチ
こちらがオーナー様にご提案したイメージスケッチとコンセプトフォトになります。今回新装するにあたっての店舗デザイン・店舗設計のコンセプトは、フランスのパリ16区の独特なクラシック感漂うアパルトマンです。パリの中でも高級住宅街として知られる16区は、食、ファッション、芸術が一同に楽しめる個性豊かなスポットです。多様なカルチャーが入り混じった心斎橋エリアにも通ずるものを感じます。ホワイトを基調としたモダンクラシックな装飾に、差し色であるモダンブルーと、ダークグレーのミラーのコーディネイトがラグジュアリーな空間を演出し、大人の女性をより一層引き立てます。
仕上素材
こちらが実際に仕上げに使用するクロスとミラーです。
カウンセリングルームはホワイトのクラシックモールにダークグレーのミラーとフランスから輸入したブルーとホワイトの柄クロスで装飾予定です。折上げ天井には演出効果が高い間接照明と、ボリュームのあるクラシックなシャンデリアを取付けます。また個人情報を取り扱う観点から、カウンセリングルームには防音性を高めた構造にします。
ボディルームとフェイシャルルームもカウンセリングルーム同様、ホワイトとダークブルーを基調としたモダンクラシックな仕上りになる予定です。各部屋の一番目立つアイキャッチ部分にはエントランス同様、ホワイトのクラシックモールとお店のメインカラーであるモダンブルーのクロス、そしてインパクトのあるダークグレーのミラーでデコレーションします。また、日頃のメンテナンスも考え、汚れやすい壁面の足元部分には汚れ防止の抗菌クロスを使用予定です。
軽鉄工事
こちらは軽鉄工事をしてる様子です。弊社のホームページでも何度か説明しておりますが、軽鉄工事とは、壁や天井の下地(骨組み)の工事になります。この工事で壁や天井の位置が決まるので、内装工事の中でも、非常に重要な工事になります。もし間仕切り位置を変更した場合は、この工事が始まるまでに決めなければなりません。弊社では墨出し(図面の寸法を基に実際の床に線を引く)をした後、実際にお施主様に現場に足を運んでいただき、間仕切りの位置を確認していただきます。もう少し広げたい、狭くしたいなど修正があればその時に対応させていただきます。
給排水工事
こちらは排水管の仕込み作業をしている様子です。シャワーユニットやトイレや手洗いなど、水が必要な箇所には排水が必要になります。プランニング・平面図で説明しましたが、各水廻り箇所から、ビルの排水設備設備まで、配管を引き込みます。スラブ(ビル自体の構造床)の上を配管が通るので、その部分は必然と床が上がります。店内の通路や、部屋を堺に段ができるので、使い勝手の面やコストの面からも、この床上げ部分は最小限に抑えたいところです。
床上工事
こちらは先程説明した配管の箇所を床上げしている様子です。排水管以外にも給水や給湯の配管も床下を通すことが多いです。床上げしているエリアは、床下に電気の配線を仕込めるので、フロアコンセントの取付も可能になります。
電気工事
こちらは電気の配線を仕込んでいる様子です。コンセントや照明等の電気の配線は、壁や天井裏に隠蔽します。そのため、軽鉄工事と同時か、それより前に、必要な箇所に配線を行き渡らせておかなければなりません。勿論、エアコンや電気温水器などの設備機器にも電気の配線は必要になります。
仕上工事
こちらが仕上工事の様子です。今回も海外から輸入した柄クロスを使用します。海外から輸入したクロスは、日本の製品に比べ、クロス自体の厚みが薄く、下地の凹凸を拾いやすいのが難点です。そのため、弊社では輸入クロスを使用する場合は、通常に比べ時間をかけて入念にパテ作業を行います。また、弊社では輸入クロスに特化した職人にクロス貼りをお願いしているため、仕上りが非常に良く、今までクレームがあったことはありません。海外のクロスは国内クロスに比べ、デザインの種類や色数や様々な素材のクロスが多く、安価で劇的にハイグレードの空間に変化させることができるのでお勧めです。
クロスが貼り終えると仕上の工程も最終段階に入ります。今回床は、サンゲツのフロアタイルを使用しています。一般的にCFと言われるクッションフロアより、耐久性と防汚性に優れており、日々のメンテナンスも非常に簡単です。エステサロンは、室内履きに履き替える事が多いですが、美容室や飲食店など、土足で利用する場合でも問題ありません。また、デザイン性も優れており、木調からタイル調まで色や柄の種類が多く、フェイク品だとわからないクオリティなのでお勧めです。
引き渡し・竣工
無事に全ての工事が終わり引き渡しとなります。
こちらが竣工写真になります。
まとめ
ご依頼から竣工まで約半年かかりました。場所も心斎橋の一等地ということもあり、搬入の時間や工事の時間など、様々な制約がありましたが、無事に竣工を迎えることができました。オーナー様やスタッフの方にも、お褒めの言葉をいただき、店舗デザイナー冥利に尽きると思わせていただける物件でもありました。また、この物件の内装工事する上で、多くの業者の方に携わっていただき、そして、時には私の無理難題にもお付き合いいただき、本当にありがとうございました。また次の物件でも、良いお店が創れるよう店舗のデザインと設計業務に日々励んでまいります。
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