美容室・理容室やエステサロンを開業し、運営していく上で、給湯(お湯)は、必ず必要になります。美容室では、シャンプー台、エステサロンではシャワーユニット、その他にも、洗面台やミニキッチン等、美容関係のお店ではお湯は欠かすことができません。そのお湯を沸かす設備として、代表的なのが電気温水器とガス給湯器になります。この代表的に2つの給湯設備には、メリットとデメリットがあり、使い方や物件によってどちらを選ぶか異なります。そこで今回は美容室・理容室や、エステサロンを開業するにあたり、どちらの給湯設備が適しているのかを、比較しながらご説明致します。今後開業を考えてる方や、設備のリニューアルを考えてる方は、是非参考にして下さい。
1. 電気温水器
電気温水器とは、電気ヒーターの熱を利用し、お湯を沸かすという給湯システムになります。電気温水器内にある貯湯タンクに水を貯め、その貯められた水を電気ヒーターの熱を利用し、お湯を沸かしていきます。ガス給湯器のように、火を使う心配もありませんので、比較的安全性の高い、給湯設備になります。
メリット
電気温水器のメリットといえば、スペースさえあれば、どこでも設置できるということです。ガス管の引き込みがされていないテナントは、まだまだありますが、電気が引き込まれていなテナントは、そうそうありません。また、コンパクトな物もありますので、洗面カウンターの下に設置することも可能で、後からの設置する際も、ガス給湯器に比べ簡単な工事になります。
デメリット
デメリットでいうと、電気代が非常に高く、コスト面ではガス給湯器に劣ることです。ただ、電気料金の安い深夜電力を使用して、お湯を沸かすのであればコストは安くなります。ただその場合、気をつけないといけないのがお湯切れです。電気温水器は、貯湯タンクに貯められている分しか温かいお湯がありません。それが無くなってしまうと、新たにお湯を沸かす必要があります。予期せぬハプニングでお湯が無くなり、日中の電気料金で追い焚きをするとなると、大幅なコスト高になります。
電気温水器は、ガス給湯器のように、水からすぐお湯に変換されるのではなく、加熱に時間がかかります。そのため、タンクの容量を常に気にしながら営業しなければなりません。お湯が無くなってしまってからでは遅いので、タンクに残っているお湯の残量には、最新の注意を払う必要があります。繁忙期などの忙しい時期は、その分お湯を使う機会も増えますので、日中の追い焚きが必要になると思っておいた方がいいでしょう。
あとガス給湯器に比べて、初期投資額が高いというのもデメリットになります。ガス給湯器が1台辺り、20〜30万円程度なのに対し、電気温水器は60〜70万円(大容量の物)と、倍近くの費用がかかります。本体もガス給湯器に比べ大きいので、余分なスペースを確保することになります。コンパクトな物もありますが容量が小さいので、洗面やミニキッチンなど常時使用しない箇所に限られます。
2. ガス給湯器
ガス給湯器とは、ガスバーナーの熱を利用し、お湯を沸かすという給湯システムになります。ガス給湯器には2種類あり、瞬間式(直圧式)と貯湯式があります。どちらの給湯器もガスバーナーの熱を利用してお湯を沸かします。
瞬間式(直圧式)
瞬間式(直圧式)のガス給湯器は、使う度にお湯を沸かす給湯システムで、給湯器の中に水が通る細い配管があり、その配管をガスバーナーで熱してお湯を沸かす仕組みになっています。本体も非常にコンパクトで、設置箇所も小スペースで可能です。基本的には屋外の設置になりますが、専用の排気システムを利用することで、屋内の設置も可能です。ただ屋内の設置には、専用の排気の関係で初期投資の金額は上がります。
貯湯式
貯湯式のガス給湯器は、電気温水器と同じように本体に貯湯タンクがあり、そのタンクに貯められた水を、ガスバーナーの熱を利用し、お湯を沸かす仕組みになっています。タンクに貯められたお湯を、熱源を利用して温めるというのは、電気温水器と同じです。ただ、ガスの方が電気をよりもパワフルなので、少しの容量でお湯を沸かすことが可能です。その分電気に比べ、低コストが可能となります。設置条件でいうと、貯湯式は瞬間式(直圧式)に比べ、貯湯タンクがある分、大きな設置スペースが必要になります。設置箇所は基本的には屋外ですが、瞬間式(直圧式)同様、専用の排気を設ければ屋内の設置も可能になります。
メリット
ガス給湯器のメリットはなんといっても、設置費用とランニングコストの安さではないでしょうか。特に瞬間式(直圧式)は本体もコンパクトで、設置場所も小スペースで可能なので、美容室で利用されることが多いです。ただ、基本的には屋外設置なので、外部の壁面などに給湯器が設置できるスペースがなければなりません。上記でも述べましたが、屋内設置になると初期費用が上がります。
デメリット
デメリットは、設置場所(ガス給湯器)と利用場所(シャンプー台やシャワーユニット)が離れれば離れるほど、お湯がでるまでのタイムラグが長くなり、お客様を待たせることになることです。また、テナント自体にガスを引き込んでいない物件も非常に多くあります。その場合、ビルオーナーと交渉次第ですが、ガスの引き込みまで負担するとなると、初期費用が大幅に上がることになります。
3. まとめ
以上が電気温水器とガス給湯器のメリット・デメリットの説明になります。電気温水器にもガス給湯器にもメリット・デメリットがあり、使用用途やテナントの条件によって、どちらにするかは変わってきます。電気温水器は、お湯を沸かす容量が限られているので、来店客が把握やすい予約制の店舗、ガス給湯器は、日によって来客数が把握しづらい回転率が早い店舗、といった考え方もできますし、テナントの設備条件から、自ずと給湯設備が決まる場合もあります。どちらにしても、メリットとデメリットを事前に把握しておく事は非常に大切です。その上で専門家の意見を聞いて、納得した上で給湯設備を決定しましょう。