日々の生活と切っては切れない建築用語を語源とするワードやフレーズ。どこかで聞いたことのある表現を少しずつご紹介します。豆知識として知っておくと、さらに建築への興味が湧いてくるでしょう。
1. 建築由来のワード・フレーズ
几帳面
几帳は間仕切りの一種で、平安時代以降公家の邸宅に使われていました。丸く面取りされた表面と両側に刻み目の入った細工が特徴の柱で、その細工のことを几帳面、と呼びます。職人の技術が物をいい、細部まで丁寧に仕上げられていることが転じて、きちんとしたさまに使われるようになりました。
建前
一般的に木造の家を建てる際の、上棟式や棟上げと呼ばれる儀式のことを指します。基礎の上に柱や梁などの主となる骨格を組み上げます。主な骨組みがあらわになるこの儀式が済めば、どのような家が建つのかが分かりますので、基本方針や表向きの方向性を示す言葉になったと言います。
また、逸話もあります。その昔、ある棟梁が建前前夜にミスに気付きます。時間差し迫る中、棟梁の妻が妙案を思いつき事なきを得ます。しかし、その事が公にならないよう口封じに妻を殺してしまいます。まさに建前にこだわり、都合の悪いことを取り繕ったことから生まれたと言われています。
日本人は周りの空気を読み、本音と建前を使い分けて生活しています。海外には見られないスタイルです。
子はかすがい
鎹(かすがい)とは、大きなホチキスの針のようなコの字型の釘です。尖った両端部をそれぞれの材木に打ち込み、つなぎ止めます。鎹は二つのものをつなぎ止めることから、この言葉が生まれました。昔から子に対する愛情が破綻しそうな夫婦の仲をつなぎ止めるとして、よく使われます。
2. まとめ
ここでご紹介したワードやフレーズが生まれたのは何十年、何百年も前かもしれませんが、時代を越えても口にするものばかりです。逸話もあり、言われは色々ありますが、歴史を感じながら、いつもと違う角度から建築に触れてみてください。