人には必ず心休まる場所があります。家はもちろんですが、学校や職場など一日のうち長い時間を過ごす場所や、カフェやジムなど短時間でもリフレッシュできる空間を思い浮かべる人も多いと思います。そんな心地よい空間について、飲食店などサービスを提供する店舗での役割などをお教えします。
1. サードプレイスとその役割
自宅(ファーストプレイス)や職場・学校(セカンドプレイス)ではない、一個人としてくつろぐことができる第三の居場所を「サードプレイス」と呼びます。都市生活者に出会いや良好な人間関係を提供する重要な場であるとし、その特徴として「無料または安価で利用できる」「飲食が可能」「アクセスがしやすい(徒歩圏内)」「常連が集まる」「快適で居心地がよい」「古い友人と新しい友人の両方に出会える」などが挙げられています。フランスのカフェやイギリスのパブなどが分かりやすい例です。日本では90年台なかば、外資系のコーヒーショップの出店がきっかけになったとされています。その後スマホ社会になり、どこででも欲しい情報が簡単に手に入るようになり、とても便利な世の中になりました。人とのつながり方も様変わりしてきました。SNSなどを使って発信をし、フォローし合いながら関係を築いています。しかし、相手にいい評価を残したり、素早い返事を求められたり、どこかで気を遣いながら何かしらのアクションをしないといけない状況になっているのも事実です。そんな状況がストレスになる現代で、サードプレイスの存在価値はますます高まっていると言えるでしょう。決して、一人きりになるわけではなく「いかにリラックスして、その空間で居心地良く過ごせるか」がポイントとなっています。
2. サードプレイスになる店舗
人それぞれリラックスできる空間は違います。出来るだけ人混みを避けたい人や、逆にある程度の人混みが感じられる中で静かに過ごしたい人など色々なケースがあります。公園、海、美術館、映画鑑賞、ジム。とにかく、時間を忘れられるくらい没頭できたり、ゆったりと過ごせる空間が、サードプレイスとして成立することになります。サービス業を例に挙げるならば、回転率のいいお店は該当しません。やはりカフェが一番人気と言えるでしょう。そもそもがリラックスしていただけるようなコンセプトを掲げている店舗がほとんどですし、お店側もお客さまも同じ考えのもとに経営が成立しています。また、海外のバーやパブにならって、日本では意外にも居酒屋などがサードプレイスとして確立しています。仲間とワイワイ、お酒を飲みながら日常を忘れられる幸せな空間と言えます。
3. 居心地の良い空間・店舗づくり
店舗として、飲食店などは自らサードプレイスを目指すことも可能です。外観や内装のデザインはもちろん、サービス内容やスタッフの教育まで多岐に渡ります。まず、できるだけ空間にはゆとりを持たせましょう。テーブルや家具などの数や間隔、配置を考えます。スムーズな動線もポイントです。インテリアや装飾も控えめに、照明も適度な明るさや色を用いて、リラックス効果を高めていきましょう。ただし、雰囲気を重視した結果、店舗の面積に対して客席が少なすぎたり、店内が殺風景で暗い印象を与えてしまうようでは意味がありません。お客さまにとって不愉快で不親切な空間になってしまわないよう注意しましょう。また、経営者としてはあまり長時間居座られても回転率が下がり、売上げに影響してきます。利益を上げるためにも客単価を高めに設定したり、メニューやサービス内容も工夫が必要です。十分なサービスの提供にはスタッフの意識も忘れてはなりません。何に重点を置いて接客するかで、店の雰囲気はずいぶん変わります。お店の評価を上げるのもお客さまと直に接するスタッフの役割です。いい評価は働くスタッフのモチベーションにもつながります。店舗としてのサードプレイスは、リピーターのお客さまが多いのが特徴ですから、いつ来ても変わらない安心感を提供できるように努めるのもいいでしょう。期待を裏切らない魅力的な店舗づくりを心がけましょう。
4. まとめ
みなさんのサードプレイスはどこにありましたか?
店舗としては、知らず知らずのうちにサードプレイスとして経営が成り立っていると理想的です。安定したサービス提供とリピーターとしてやって来てくださるお客さまがあれば、おのずと収益も集客も伸びていくこととなるでしょう。家具やインテリアの配置、店舗内の動線など、内装、設計デザインは専門家に依頼することをオススメします。カフェなどの何気ない空間も緻密に計算されています。居心地の良さだけではなく、利益を上げることもしっかりと考えておかなければいけません。新しく開業する際に、サードプレイスとしての価値に重きをおくことは必須ではありませんが、気持ちの持ち方としてはとても参考になる考え方ができるでしょう。お客さまがどういう気持ちで来店しているのか、何を求めているのか経営に反映させていきましょう。