飲食店における内装デザインは、設備面やスタッフの可動範囲の広さ等、お客さまが普段気にされないところまで細部にわたって設計しなければならないことから、他業種に比べ難しいとされています。機能面とデザイン性を兼ね備えてこそ、人気店は誕生します。設計からデザイン業者の選び方までポイント解説します。
- 内装デザインとは?
- コストについて
- デザイン業者の選び方と注意ポイント
- まとめ
・ポイント1 お客さま目線
・ポイント2 スタッフ目線
・ポイント3 キャパシティ
・ポイント4 動線
・注意ポイント1 コミュニケーションと信頼関係
・注意ポイント2 要点整理とスケジュール管理
1. 内装デザインとは?
飲食店における内装デザインとは、どのような役割を持つのでしょうか。お客さまに与えるイメージだけでなく、スタッフが使いやすい現場であることもポイントです。
ポイント1 お客さま目線
どのような商売でもお客さまがいて、初めて成り立ちます。今回は飲食店ですから、いかに自慢の料理を振る舞うかにかかっています。盛り付けなど、さらに美味しくみせるための工夫もしているはずです。しかしそれだけではお皿の上で終わってしまい、どんなに美味しい料理も台無しです。そこで内装デザインを有効的に活用し、お客さまを呼び込む空間の準備をしましょう。デザイン性に優れた店舗はお客さまの印象に残ります。口コミで広がり、メディアに取り上げられる例はよくあります。そんなお客さまに居心地の良さもアピールできれば、さらにはリピーターを増やすことにつながります。
ポイント2 スタッフ目線
飲食店では他業種に比べて、スピーディーなサービスを求められることがあります。その為にはスタッフの動線等を考慮した、機能的な造りであることが求められます。店内をスムーズに移動できるだけでなく、お客さまを含め、全ての人が快適に飲食を楽しめる空間であることが重要です。トイレやバックヤード、厨房の出入り口等も要検討です。また「ここで働きたい」と思わせるのもデザインのなせる技かも知れません。某コーヒーショップのように、店名を聞くだけで「カッコイイ、オシャレ」というブランドイメージがつけば、求人広告等を出さずとも募集があるかも知れません。働きたいと思えるような空間づくりができれば一石二鳥でしょう。
ポイント3 キャパシティ
たくさんのお客さまがいらっしゃれば、それだけ売り上げは伸びることになります。単純計算でたくさんの座席数を確保すれば、たくさんのお客さまに座席を用意できるわけですが、スペースに見合う座席数を考えなければなりません。少しでも多くの座席数を確保しようとすると、限られたスペースの中ではお客さま同士の間隔が狭くなり、決して居心地のいい空間とは言えなくなってしまいます。いくら料理が美味しくても、総合的にお客さまに満足していただけるとは思えません。また来ていただくことができるよう、店舗に見合った無理のない座席数を準備しましょう。
ポイント4 動線
飲食店ではスタッフが店内を駆け巡ります。いかに効率的で無駄のない動きができるかを考慮し、設計する必要があります。厨房からお客さまの元への移動における順路や距離、通路の幅、厨房での機器の大きさや配置なども細かく決めていきます。素人では難しいので、店舗経営経験者からレクチャーを受けたり、設計業者などプロの手を借りてしっかりと計画していきましょう。どのような動線がいいか、何パターンかシュミレーションし、スムーズなルートを探りましょう。実際の業務になった時、店舗の回転率を上げることにもつながります。回転率は売り上げに関わってくる大きなポイントです。回転率をあげて、より多くのお客さまを迎えましょう。また、厨房とフロアのスタッフ間の連携がうまく稼働するかもポイントですので、チェックしておきましょう。
2. コストについて
ここでは気になるコスト面について解説します。コストをかけるべきところと、そうでないところの判断をしっかりさせておきましょう。
初期費用
コスト面については、まず事業計画書をもとに作業を進めることをオススメします。初期投資を何年かけて回収するのか、日々のランニングコスト、売り上げ等を洗い出し、初期費用を算出します。飲食店のだいたいの相場や目安となる店舗はあると思いますが、あくまで目安に留めておき、自店にそっくり置き換えるのはやめましょう。店舗にはそれぞれコンセプトがあり、同じものはありません。コスト面についてはなおさらです。自店の目標をしっかり掲げて、内装費を割り出しましょう。
設備費用
飲食店には厨房が不可欠です。電気や排水などの設備面での工事が多く、数百万という多額の費用がかかる場合があります。厨房に関してはより専門的であるため、多くの場合、機器の発注から設計まで厨房機器メーカーに依頼することもしばしばです。
3. デザイン業者の選び方と注意ポイント
これまでのポイント解説からもお分かりのように、飲食店は細かな動線や厨房といった他業種にはないスペースの設計を要するため、専門的な知識が求められます。どんなデザインをしているかでデザイン業者を決めるのではなく、少なくとも飲食店を設計したデザイン実績のある業者を探してみましょう。飲食店の設計を得意、専門とする業者であれば、より高い知識やノウハウを持っているので心強いでしょう。見た目だけではなく、一番にお客さまやスタッフが快適に過ごせる空間を目指します。以下のポイントに注意して選定してみましょう。
注意ポイント1 コミュニケーションと信頼関係
まずは自店のコンセプトをもとにやりたいイメージを固めておきます。分かりやすくイメージを伝えるために画像などを参考資料として用意しておきます。そこからデザイン業者とのすり合わせを行います。一方的に要望を押し付けてはいけませんが、やりたいイメージを実現化してくれる業者をみつけましょう。あらかじめデザイン業者を決めている場合でも、しっかりと要望は伝えましょう。全てお任せや言いなりになるような関係も好ましくありません。互いの意見を交換し合うことで信頼関係がうまれ、その後の作業もスムーズに進みます。デザイン業者とは長い付き合いになりますから、コミュニケーションを大切にしておきましょう。
注意ポイント2 要点整理とスケジュール管理
初めての自分の店を持つと言うことは夢に満ち溢れていることと思います。内装デザインは個性の見せどころですので、やりたいイメージもたくさんあるでしょう。しかし、プロ目線のデザイン業者との話し合いでは、なかなか思うようにいかないことも出てくるはずです。目標をはっきり定め、優先順位を設け、妥協点をしっかり見極めます。全て任せっきりにするのも、後々トラブルの元となりますので避けましょう。納得いく話し合いができるよう、スケジュールには余裕を持って取り組みましょう。工事が始まってからも万一のトラブルに備え、オープンまでゆとりのあるスケジュールを立てておくと安心です。
4. まとめ
たくさんの夢を乗せてお店を開業するわけですから、納得のいく形でオープンを迎えられるよう入念な準備が必要です。プロの意見をうまく取り入れつつ、見た目だけでなく、空間を共にする人々が快適に過ごせる内装デザインにしましょう。