物販店では、売り上げを左右する大きな要因として店舗の内装デザインが挙げられます。工事費を抑えた分、内装デザインに予算を充てる傾 向にあります。そのため、オリジナリティだけでなく高い完成度も求められます。これからご紹介する基本的な考え方をもとに、自店のウィークポイントを探してみましょう。
1. 集客に重要なポイント
物販店では何も買わずに店を出たり、入店せずにウィンドウショッピングを楽しむお客様がたくさんいらっしゃいます。飲食店や美容室のように、目的がはっきりしている業種とは大きな違いがあります。集客につながる3つのポイントをご紹介します。
ファサード
物販店は、飲食店や美容室のように入店すると必ず支払いが発生するような業種とは違います。予約や購買が義務でもありません。逆を言えば、思いのままに入店していただけるということになります。ファサードは最も目を引き、設計上重要視されている場所です。曖昧なコンセプト表現では不信感を与えて、敬遠されてしまいます。ショッピングセンター等のテナントや路面店を参考にして、わかりやすく、入りやすい雰囲気つくりをしてみましょう。
レイアウトと動線
お客様に一歩足を踏み入れていただいたら、動線を工夫して店内を自然と誘導できるようにします。コンビニやスーパー等では科学的な視点から動線が設計されています。大半の人は利き目が右なので、オススメの商品は右の棚に陳列したり、人は左回りを好むとされていることから、動線が左回りになっています。また、入りやすい環境だけではなく、入店後いかにお客様を巻き込むかがポイントとなります。少しでも滞在時間を長くするような仕掛けを工夫しましょう。
マイナスのデザイン
視覚的にも科学的にも、物販店にとっての内装デザインの役割は大きいことはお伝えしました。設計する専門家にとってもやりがいのある仕事と言えるかもしれません。しかし物販店の場合、内装デザインを作り込むことは厳禁です。あくまで主役は商品です。自社の商品が魅力的に見えるような提案をし、デザインに汲み取ってもらいましょう。物販店のデザインの実績がある場合には、専門家ならでのノウハウも考慮してもらえるでしょう。プラスではなくマイナスのデザインを心がけましょう。
2. 店舗デザインの注意点
店舗デザインや内装工事でうっかり見落としてしまいがちなポイントを整理しておきましょう。
ディスプレイ什器
ディスプレイ什器はそれぞれの店舗に合わせて、オーダーメイドで作ることが一般的です。手間暇がかかるため、予算もかかります。既製品で済ますことも可能ですが、安っぽい印象を与えてしまうことがあります。どうオリジナリティを出せるか予算内で検討してみましょう。
在庫スペース
当たり前のことですが、物販店で売る商品がなければ商売になりません。店頭に出す商品に加えて、補充する商品として在庫も忘れてはいけません。そこで売り上げとは別に、物質的な問題として在庫を管理するスペースも必要になってきます。店舗内に設ける場合は販売スペースを圧迫してしまわないよう、物件自体の広さにも注意しましょう。
商品の種類
ディスプレイや陳列方法は、商品の種類によって大きく左右されます。例えば、洋服と小物ではスペースの取り方が違ってきます。商品の数も重要です。実質的にも、見た目にもバランスの良いスペース作りをシュミレーションしておきましょう。
3. 開店までのワークフロー
立ち上げから施工までの簡単な流れをご紹介します。
コンセプトメイキング
ターゲットとなるお客様の層、商品の販売方法、種類、陳列方法など、お店のコンセプトメイキングは事前にしっかり準備しておきましょう。わからないことや疑問点もまとめておいて専門家に投げかけるようにします。ゆとりをもって計画するようにしましょう。
デザイン設計会社の選定
用意したコンセプトをもとに、設計会社に図面や資料を作成してもらいます。打ち合わせを重ね、お店の方向性や予算にあったデザイナー、設計会社をみつけましょう。大型の店舗に入店する場合などは、ルールに反したことがなされていないか判断するのも重要です。
デザイン設計会社の選定
図面の完成が近づくと、施工会社選びに入ります。複数の会社から見積もりをとることで、価格の適正化や予算の見直しにもつながります。ぜひ検討してみましょう。
4. 内装工事に必要な予算
高級品を扱うような場合は坪単価100万円を超えることもありますが、一般的に坪単価50万前後とされています。オーダーメイドにこだわったり、大きく予算を割くようなことがなければ、他業種と変わりない予算帯です。
5. まとめ
物販店は工事費を抑えられることで、内装デザインに重点を置くことができます。核となるコンセプトをもとに、ゆとりをもって進めていきましょう。他社との違いをセールスポイントとし、魅力的に表現できるよう努めましょう。