1. ビニールクロス
ビニールクロスの特徴
住宅を始め、日本では壁紙の9割を占める最もポピュラーな壁紙クロスです。原料は主にポリ塩化ビニール樹脂でできており、それらをシート状にしたものに紙で裏打ちをしています。表面には様々な加工が可能です。一般的な模様や柄などをプリントしたものから、木目調や大理石などのテクスチャー加工、質感を演出するエンボス加工などバラエティに富んだものが販売されています。
ビニールクロスのメリットとデメリット
ビニールクロスのメリット
バラエティが豊富で安価というのが一番の人気の理由でしょう。種類が豊富ですので、イメージに合ったものが見つかりやすく空間コーディネイトが簡単にできます。空間ごとに雰囲気を変えたものを選ぶことも可能です。
ビニール素材ですので手入れも簡単です。防汚、防水、防湿、防カビ、防キズ、耐火、耐水、耐薬品、マイナスイオン効果、蓄光など、様々な機能を持ちあわせたものがあり、目的に合わせたものが選べます。
ビニールクロスのデメリット
ビニール素材ですので、天然の風合いは期待できません。ビニールの特性として、通気性や調湿性にも優れているとはいえませんので、使う場所などはしっかり考えておく必要があります。月日が経つと劣化し、黄ばみ等も目立ち始めますので、貼り替えの可能性も頭に置いておきましょう。
臭いやアレルギーに配慮する場合も注意が必要です。接着剤等に有害物質を含んだり、焼却時に発生させたりする場合もあり、社会的にも懸念されていますが、塩化ビニールの使用量の軽減や有害物質を排出しない材料を使ったりする試みは続けられているようです。
ビニールクロスのオススメポイント
・低コスト
・バリエーションの多さ
・お手入れが楽
2. 紙クロス
紙クロスの特徴
紙クロスといえば、ヨーロッパやアメリカなどの色やデザインの高い凝ったものが人気です。ゴージャスで空間がグッと華やかになります。紙ですので、大半は木材を原料としたパルプを使用しますが、日本には古くから伝わる和紙もあります。コウゾやミツマタなどの植物が使われ、ケナフなどと非木材を原料とするものは特殊タイプと呼ばれたりします。合成紙タイプとして、表面をフィルム加工したものなどもあります。また、それらの天然素材とは違ってビニール素材が含まれたものなども出回っていますので、気になる方はよく確認しておきましょう。
紙クロスのメリットとデメリット
紙クロスのメリット
和・洋では与える雰囲気は違いますが、ビニール素材のものにはない風合いや、柔らかで華やかな印象をもたらしてくれるのが紙クロスの特徴です。実務的ではなく、こだわりの空間に取り入れたいデザインが多くあります。
通気性があり、音を吸収する効果があるため、個室利用する際などにもよいでしょう。
紙クロスのデメリット
他の素材に比べてクロス自体が薄いことによる問題が多々あります。手間のかかる作業になりますから、費用も高めです。ですので、紙クロスの施工の実績がないような職人さんに依頼するのは厳禁です。まず、下処理をしっかりして、デコボコのない壁に貼るのが基本です。その準備を怠り、高い工賃だけを請求をしてくるような業者は避けましょう。
時間が経つと膨張したり、収縮する可能性もあります。撥水加工がされていないものについては、水拭きもできませんし、汚れなどはそのままシミになってしまいます。擦れにも弱く、長持ちさせるには注意が必要です。
紙クロスのオススメポイント
・上質な空間の演出
・通気性の良さ
3. まとめ
今回(その1)は、普段身近にあるビニールクロスと紙クロスについて解説しました。やはり身近にあるだけあって、利便性などもふまえイメージしやすかったと思います。壁紙・クロスは、空間の大部分を占める重要な要素ですから、しっかりとイメージを掴むことが大切です。今回のポイントを参考に、是非ワンランク上の使い方にチャレンジしてみてください。